2025年9月3日水曜日

日本画ってなんですか?【スタッフの個人通信】

 皆様は絵を観るのはお好きですか?
ギャラリーエッセでは様々な展覧会を開催していますね。

絵画展の場合、「日本画って何ですか?」と聞かれることがあります。
油彩画や水彩画などは画材がイメージしやすいのに、日本画って??

先日まで開催していた「多年草日本画展」でも質問がありました。

これに対しての答えは実はいつも難しいなと思っています。

画材で区別するなら絵絹や和紙に墨や膠と岩絵具などを素材として制作された絵画ですが…

…床の間に飾る掛け軸や、襖絵は日本画だとイメージしやすいですよね。

でも、現代日本画は、洋画と見分がつかないような表現や、さまざまな素材を組み合わせた半立体的な作品もあり、ジャンル分け自体が難しいことがあります。

         日本画家の東山魁夷の作品ならご存じの方も多いのでは

                   「緑響く」

〈AIに聞いてみました〉
日本画とは、伝統的な画材や技法を用いて描かれた日本の絵画を指します。
明治時代に西洋画(油絵など)と区別する為に「日本画」という言葉が使われるようになりました。伝統的な素材や技法を継承しつつ、西洋画の影響を受けながら、独自の発展を遂げてきました。

現代の一般的な解釈では、岩絵具や膠、和紙や絹など、日本の伝統絵画と同じ素材を使用している絵画を日本画と呼んでいます。


 そこで、私も「多年草展」の一出品者でしたので、日本画の主な画材をご紹介します。


      膠(にかわ)/動物の骨や皮から作られる接着剤。煮溶かして使用

      胡粉(ごふん)/貝殻を焼いて作った白い顔料

※茶色の棒状のものが膠です
        
         胡粉は乳鉢で擦り鋳つぶし、膠と煉りまぜ水で溶いて作ります。



顔彩/顔料に膠などの固着剤(接着剤)を加えて煉り、容器に入れ乾燥させた固形の水性絵具。
水で溶かすだけで水彩画の様に手軽に使用できます。



水干絵具(すいひえのぐ)/天然の土や胡粉を着色した微粒子が特徴の絵具。
水で精製して板状に干し上げることから「水干」といいます。



岩絵の具(いわえのぐ)/天然の鉱石やガラス原料を砕いて作られる粒子状の絵具。

箔(はく)/金・銀・銅などの金属を薄くたたきのばした紙状のもの。

※白い四角の包みが箔(これはアルミ箔、100枚入り)です

天然の鉱石から作る岩絵具は高価!
宝石のラピスラズリも青色の絵具原料になっています。


水彩画絵具はチューブに入った状態で販売されていますが、
岩絵具は粉末の状態で売られています(1袋15g入り、又は量り売り)



※岩絵具は基本的に混色できない為、塗り重ねによって中間色を出す必要があります。
同じ色でも粒子の荒さにより7段階ほどに番号で分けられていて、
細かくなるほど色は白っぽくなります。

ほか、和紙や墨・筆・刷毛なども必需品です。

※制作中の様子
土鍋に入っているのは煮溶かした膠(ゼラチン質の固着剤)です。
水干絵具も岩絵具も粉末なので、一色ずつ膠で溶いて使用します。

※下絵(部分)
これをパネルに貼った和紙にトレースし、墨で書き起こします。

※色を何度も塗り重ね完成


展示作品の中にあった水墨画や貝合わせも「日本画」の範疇ですね。




日本画は画面がマットですし、特に粒子の荒い岩絵具を使用してる場合は荒目のサンドペーパーの様に画面がキラキラしているので、アクリル画や水彩画と見分けられます。

簡単にご紹介しましたが、何となくおわかりいただけましたら幸いです。


総務部 H