今日は、ランナーの末席にいる私が、ニューイヤー駅伝も登場する仕事小説をご紹介します。
「半沢直樹」や「下町ロケット」など仕事小説ならこの人、池井戸 潤著『陸王』です。
埼玉・行田で足袋づくりをする老舗企業「こはぜ屋」、老舗企業といっても業績がジリ貧になっていくなかで、ランニングシューズづくりプロジェクトを立ち上げ、そう簡単には上手く行かない過程を描いたお話です。
弊社は製造業ではありませんが、職員数30数名の中小企業で、私の実家も製造業で(家具の工場です)、話が上手く進むときも涙、上手く行かないときも涙と、たいへん面白い小説でした。こはぜ屋の社員だけではなく、取引銀行の担当者や運送会社の担当者がプロジェクトチームにかかわり、新しい登場人物が増えて、ものづくりが進んでいくところも読んでいて楽しい点でした。
こんな新聞広告も打たれていました。 |
「ビジネスというのは、ひとりでやるもんじゃないんだな。理解してくれる協力者がいて、技術があって情熱がある。ひとつの製品を作ること自体が、チームでマラソンを走るようなものなんだ。」(宮沢社長)
「本当のプライドってのは、看板でも肩書きでもない。自分の仕事に対して抱くもんなんだ。会社が大きくても小さくても、肩書きが立派だろうとそうじゃなかろうと、そんなことは関係ない。どれだけ自分と、自分の仕事に責任と価値を見出せるかさ。」(飯山)
「全力でがんばってるやつが、すべての賭けに負けることはない。いつかは必ず勝つ。お前も今は苦しいかもしれないが、諦めないことだな。」(宮沢社長)
そして、あんまり練習しないでマラソン大会のスタート地点に立ってしまった時の自分向けに、ランナー編。
「自分は今日走れて幸せなんだ、と。」(実業団ランナー茂木)
最後まで読むと、この装丁の意図が分かります。 |
(総務部 関口)