2018年12月3日月曜日

クリスマス【株式会社エッセ・社長の400字エッセイ】


今から55年くらい前の話。
私が小学校に入る前のこと。実家は美唄の米作り農家。街の中心から10km以上離れたマガンの飛来地で有名な宮島沼の近く。冬は積雪で電柱が50センチしか見えなかった。付近にスーパーもなく吹雪の日が何日も続くと食糧の調達にも苦労する地域。その年の12月も大変な豪雪で、母は遂に毎年かかさず私の枕もとに置いてくれたクリスマスプレゼントを買いに行くことが出来なかった。困り果てて母は、おにぎりを数個作り翌朝、私が目を覚ます前にそっと枕もとに置いた。朝、おにぎりを見た私は「うゎー、おにぎりだ。サンタさんのプレゼントだ。」と、まるでずっと欲しかった高価なおもちゃでも手に入れたかのように、本当に嬉しそうにそれをモグモグと食べ、何度も繰り返して「お母さん、サンタさんが置いていってくれたんだね。」と大喜びしたと言う。母は涙が止まらなかったと。私には全く記憶の無い嘘ののような本当の話しらしい。クリスマスの話題として、ずっと語り継がれてきた私に関する我が家の美談だった。

街中鳴り響く、ジングルベルの音色。平成最後のクリスマスはどうやって過ごす?との問いに、「家族と気兼ねなく」の答えが最も多かったと新聞で読んだ。我が家も久しぶりに特大ツリーを屋根裏から引っぱり出し、夫婦で小さい頃のクリスマスの思い出に浸ることとしたい。